ボジョレー・ヌーヴォーの味を酷評するのはちょっと待って
ボジョレー・ヌーヴォーはフランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地域で造られます。
その年に収穫されたガメイ種のぶどうをその年に仕込むフレッシュな新酒(ヌーボー)です。
1800年代からボジョレー周辺の住民を中心にデイリーワインとして楽しまれていた地酒でした。
それが、1951年にフランス政府によって公式に解禁日が定められたのを期に、パリのレストランを中心に大ブームが起こりました。
そして、その後、交通の発達によりその習慣が世界中に広がりました。
毎年盛大に売り出されるボジョレー・ヌーボーなので、一度は口にしたという人も多いでしょう。
そして、期待して飲んだのに、がっかりしたと酷評する人も多いのが実状です。
しかし、このがっかりはボジョレー・ヌーヴォーのせいというよりも、飲み手側の間違った期待によるものと言ってもいいのです。
ボジョレー・ヌーヴォーは通常のワインのように味わうワインではありません。
もともとその年に収穫されたぶどうの出来具合を確認するための試飲酒で、「マセラシオン・カルボニック」という醸造方法で造られています。
日本語に訳すと、炭酸ガス浸潤法です。
通常は収穫したぶどうを破砕してから発酵させますが、この方法は、破砕せず縦型の大きなステンレスタンクに上からどんどん入れてしまいます。
この方法で造ったワインはタンニンが少ない割には色が濃く、渋みや苦味が通常のワインより少なくなります。
味わいもまろやかになり、炭酸ガスによって酸化が防止されるので、ワインがフレッシュに仕上がります。
全体にライトで、独特のバナナのような香りもします。
新酒の状態でも充分飲めるようになるのです。
ワインメーカーがその年の収穫を祝ったり、販売業者がその年の購入量を決める目安にしたというのが、ボジョレー・ヌーヴォーの本来の飲まれ方でした。
普通のワインと比較して酷評するのは、それこそ酷というものです。