解禁、ボジョレー・ヌーヴォー
毎年11月の第三者木曜日に解禁されるボジョレー・ヌーボー。
ボジョレーはフランス.パリの東南に位置するブルゴーニュ地方の南、美食の町リヨンからは北部に広がる地区のことである。
なだらかな丘陸地帯で、その名は、[美しい高台]を意味するボージュに由来している。
花崗岩質、石灰粘土層の土壌で、黒ブドウ[ガメ種]との愛称が非常に良い土地である。
ボジョレーの赤ワイン、ロゼワインはガメ種から作られている。
この地区ではワインの作り方も他の地区のワインとは違う。
通常は発酵の前にぶどうを破砕するが、ここでは収穫したぶどうの房を、そのままタンクにいれて発酵させる。
こうすることで、ぶどうの重さでぶどうが潰れ果汁が流れ出て自然に発酵が始まり、タンクの中に炭酸ガスが充満する。
そしてぶどうの実の内部でさまざまな成分が生成され独特の風味が生まれるのである。
皮から色素が溶け出し、タンニンの少ないきれいなルビー色のワインになるのである。
この製法はマセラシオン.カルボニック製法。
味わいはフレッシュでフルーティーな魅力にあふれている。
ボジョレー地区で夏の終わりに収穫したぶどうを、その年のうちに仕上げた新酒。
それがボジョレー・ヌーヴォーである。
もともとは、ぶどうの収穫に感謝し、祝うとともに、その年のぶどうの作柄を確かめるためにつくられたとも言われている。
ぶどうが収穫できるのは、年に一度きり。
ボジョレー・ヌーヴォーは軽く冷して(14℃~16℃、冷蔵庫の野菜室ぐらい)飲むのがおすすめである。
鶏肉のクリーム煮、合鴨のソテー、ハム、ソーセージ、パスタなど、幅広いジャンルの料理と合わせることができる。
ボジョレー・ヌーヴォー世界で注目を集め始めた頃、ワインの売り手たちは、いち早く出荷させようと競いはじめた。
その結果、質の悪いワインも出回ってしまい、せっかく世界に認められたボジョレーの評判を落としかねないほどであった。
そこで1967年、フランス政府は、ワインの品質を下げないために解禁日を定めたのである。
それが11月15日。
解禁されるまでは販売も飲むことも禁じた。
ところがフランスは安息日に働かないお国柄で、この日が土日や祝日になると運送がストップして出荷ができなくなってしまった。
1985年、フランス政府は安息日と重ならないように配慮し、再び解禁日を定めた。
それが現在の[11月の第三者木曜日、午前0時]。
日付変更線の関係上、日本では本国フランスよりも早く解禁日を迎えるのである。
今年のボジョレー・ヌーヴォーも楽しみである。